道具 鋏
camera:Leica x1
僕は仕事に限らず道具が好きです。男は皆そうです(断定w)。服作りにおいて必要な道具は、ミシン、アイロン、アイロン台、ハサミ類、裁断台、、といった感じです。それらのどれも好きなのですが一番はやはりハサミですかね。僕の裁断ハサミ遍歴を上げてみることにする。洋裁学校時代は裁ちバサミというにはサイズが小さなドイツ製のハサミを無理やり使ってました。おわかりいただけるかと思いますがここでのポイントは”ドイツ製”という所で、その一点だけでいかに僕が形から入るヨーロッパかぶれの男かわかると思います。その後イギリスのブランド[Merchant&Mills]の裁ちバサミをしばらく使う。これは2010年前後に日本でも販売しだした簡単に手に入るヨーロッパの裁ちバサミでカッコよかったのです。今でも持っていてお店で使ってます。その後PARISの手芸屋さんで見つけたフランス製の裁ちバサミを使ってました。フランスらしいビジュアルで可愛いしこれは僕ぐらいしか使ってないだろうという優越感も手伝って長く使ってました。しかしこの2つのヨーロッパのハサミは日本で(熊本で)評判の良い研屋さんに出したら切れなくなって帰ってきた。これがきっかけでしばらく裁ちバサミ難民になる。その間に100年前のイギリスの名刀的な鋏も手に入れたのですがこれはコレクションでしかありません。皆様ここでもお気付きかと思いますが、とにかく僕の鋏選びの基準が間違っているのですよ。コレクター的な考えと言うかおもちゃ選びみたいな感じです。
道具として必要なのはやはり機能性です。そして知ってはいたのですが見て見ぬふりをしていた日本のハサミが世界一良いという事実に向き合えたのは2年前(かなり最近w)です。
日本には東鋏(とうばさみ)という伝統的な鋏組合があります。「長太郎」をトップとする色んなブランドが加盟しており、その製造過程は家毎の美学があります。日本の刀鍛冶が明治に入り職を失いかけていたとことに西洋から渡ってきた裁ちバサミ(ラシャバサミ)の製造に転職したのが起源です。日本刀が世界で最強の刀だった事は皆様の知るところだと思いますがその刀鍛冶のスキルを活かして作られたのが日本の裁ちバサミです。そして東鋏だけではなく日本各地で鋏は作られています。日本の裁ちバサミのカルチャーも面白いので気になる方は調べて見て下さい。日本が世界に誇る物作りで一つですよ。
僕がいま使っているのは”正太郎”という鋏です。これは東鋏ではないのですが総火造りの伝統ある鋏です。これを選ぶにあたり東鋏やそれ以外の日本のハサミについてかなり勉強しました。その上で選んだのがこの正太郎です。刀鍛冶と同じく総火造りという点に惹かれました。手に入れて思ったのが切れ味が凄いのは勿論ですが軽いのがビックリです。動きもスムーズで今まで使っていた鋏とは比べ物にならないくらいの”使い心地”がある鋏です。本当に日本の鋏は世界一なのだと実感してます。
裁断という工程は小服作りにおいてかなり重要な工程の一つです。その良し悪しを決めるのは裁ちバサミである事は言うまでもない。